「皇居前外苑の朝は、アクビではじまる」
というなんとも心地いい一文ではじまる、木山捷平によるユーモア長編小説。目次タイトルだけを抜いても「パンティよさようなら」「五十円玉と老巡査」「寝床の独立」「怒濤か雪崩か」なんて、まるでドラマやショートムービーのような小気味の良さがあるのです。
「怒っちゃ、いやよ。キリ子だって、十日もあんたに逢えないで寂しかったんだもの。ね、早く起きてキッスして!」
木山捷平 全集未収録
「長編小説 𦜝に吹く風」サンケイ新聞出版局
1964年4月初版
函アリ・ヤケ有・蔵書印有・古本としてそれなりにヤケはありますが、むしろ美しいと思いたいです。